元型とは、人の心の構造を形作る原理であるが、それは「神の像」であるとも言える。
未開の部族においては、「集団表象」と呼ばれるイメージが通過儀礼(イニシエーション)を通じて部族全体に伝承される。これが元型である。
また、キリスト教においては、「三位一体」「原罪」「処女懐胎」といったイメージが教会や聖書・宗教芸術によって信者全体に伝承される。これも元型である。
また、東洋哲学における老子の思想やインドの思想もヴィヴィッドなイメージを今に伝えている。これも元型である。
これらの思想が西洋人を魅了したり、逆にキリスト教思想がしばしば東洋人を魅了するのは、これらのイメージの根底をなす元型が、個人の体験を超えた種族的な太古の記憶を揺り動かすからである。