分裂病患者や3歳~5歳の幼児の夢のモチーフを観察することで、元型の存在証明が可能となる。
しばしば、彼らの夢には、彼らが経験上知ることのあり得ない神話的なモチーフが現れる。
このモチーフはどこから来たのか?個人的な経験からではありえないのだから、これは無意識の中に遺伝的に受け継がれた太古の記憶に違いない。
一人の分裂病患者の例を挙げよう。
この患者は、自分を神であり、キリストであると考えていた。この患者は太陽を目を細めて見つめながら首を揺らし、「『太陽のペニス』を操って」「風を起こして」いるのだと話した。
4年後、ある神話の本が出版され、これと似た伝承が書かれているのを偶然見つけた。彼が当時この本を読むのは不可能である。
だから、太古の昔から遺伝的に伝わる「元型」が、この患者の無意識の中に現れたり、別の時間別の場所では神話のモチーフとして現れたりしたことがわかる。